震災直後に出逢い、東北への思いを持ち続けてきたおふたり。結婚披露宴に出席された方々に、「ゲラメモ」を通じてお伝えしたかった「気持ち」をうかがいました。
PRe Nipponがお届けする「ゲラメモ」は、福島県南相馬市で障がいのある人たちが1冊1冊心を込めて作り上げたものです。
丁寧にゲラを折り、表紙を加工し、綴じて帯をかける。すべてが手作業で、時間と手間を惜しみません。
「真心のこもった品だからこそ、新たな門出の際に、慶びの記念品としてお使いいただきたい」
こんな思いをPRe Nipponメンバー一同抱いていましたが、ふとしたきっかけで「ゲラメモ」を知ったカップルのおふたりから、結婚披露宴のギフトにしたいというご要望をいただきました。
今回は、おふたりが披露宴の出席者様へのお礼として「ゲラメモ」を選ばれるまで、そして披露宴で1冊1冊手渡された反響についてレポートします。
「ゲラメモ」を知ったきっかけはFM番組
2013年3月。関東近郊をカバーするFM放送局J-WAVEの番組で「ゲラメモ」が紹介されました。
放送後しばらく大きな反応はありませんでしたが、約2週間後いただいた連絡にPRe Nipponメンバーは驚くことになりました。
メールをいただいたのは、2013年4月挙式予定の新郎岡敬太さん、新婦真弓さんのカップルから。放送当日体調を崩して自宅で休んでいた真弓さんが、たまたまラジオを付けていたことから「ゲラメモ」の存在を知って、「私たちが探していた披露宴のプチギフトはこれだ!」と直感されたそうです。
おふたりの出会いは東日本大震災がきっかけ
敬太さんと真弓さんが出会ったのは2011年5月のことでした。東日本大震災の直後、会社の同僚に誘われボランティアとして南相馬へ向かった敬太さんは、現地で漂着物や倒壊物の撤去作業に携わりました。当時は原発の問題もあり現地は混乱状態でしたが、日本自体がなくなってしまうような不安の中で、被災地の役に立ち、かつ自分の目に震災の現実をしっかりと焼きつけて周りの人たちに伝えたいという想いで現地に向かったのです。
一方真弓さんは、震災当時勤務しているオフィスで帰宅難民となり、交通網の復旧が遅れた地域に住んでいたため、その後の通勤にも大変不便な思いをしていたとか。必死に日常の社会生活を維持しながら、報道で知る被災地の様子に心を痛め、ボランティアをはじめ自分にできることを探していたのです。
そんなふたりが震災後のGWに開催されたあるホームパーティで知り合いました。敬太さんが南相馬にボランティアに行ったと聞いた真弓さんは敬太さんが自ら体験した被災地の話をより深く知りたいと思ったそうです。
その後お付き合いが始まり、震災後約1ヶ月半の時点で行ったボランティアだったが、あまりにも大規模な災害だったため、がれきの撤去など復旧作業が思うように進んでいない様子だったこと。
南相馬でボランティア活動をした家は海岸から2キロ離れていたが津波を免れた最前線であったこと。
その家から海までの土地はあらゆるものが流され、防波堤までがなくなったため海岸線がむき出しで見えるという、現代の日本としては異様な光景のこと。
建物は残っているといっても、家の中にヘドロや流された家の残骸が流入している状態であったこと。
ボランティアとして作業をしたお宅の家主であるご家族は、自らの家も家財を流され、たくさんのものを失った状態にも関わらず、暖かく迎えてくれたこと。
詳しい話を聞き、真弓さんも自ら被災地を訪れて役に立ちたい、という気持ちが強くなっていったそうです。
それが縁で、おふたりは結婚への道を歩むことになりました。
変化していく「支援の形」
震災から時間が経つにつれ、被災地が必要とする支援も形を変えていきます。
南相馬だけでなく、亘理町にもボランディアに赴き、ボランティアを支える資金集めのため、フリーマーケットなどのイベントにも携わった敬太さん。そして趣味のバンド活動のライブでは、復興支援の募金を呼びかけ、出逢って一年後となる2012年のGWには、お姉さんのゴスペル仲間と共に、宮城県名取市閖上地区へと慰問に向かった真弓さん。
特に、南相馬でボランティアの際にお世話になったご家族とは交流が続き、相馬野馬追が完全復活した2012年7月にはおふたりで南相馬を訪れ、敬太さんは真弓さんを紹介しました。
こうして赴く先で地域の方々に歓迎を受け、新しい関わりをつくりながらも、東日本大震災の傷跡が当初考えていたよりも深く長く被災地に残っていることを実感したそうです。
おふたりは首都圏に住む1組のカップルとして、日常の中で永く被災地に寄り添い、人生の中で、長期的に生活の一部として支援を行うことが必要だと考え始めました。結婚式と披露宴の中でそんな思いを形にできるようなギフトを探している時に、「ゲラメモ」を知ることになったのです。
「ゲラメモ」結婚式で使っていただける「心のハリ」
披露宴のギフトとして「ゲラメモ」を使用したいとのご依頼に、南相馬で1年以上にわたり「ゲラメモ」を作り続けてきたさぽーとセンターぴあさんの自立研修所ビーンズさんでは、利用者さん、スタッフさんの皆さんが大喜び。おめでたい日に喜びとともに手渡されることをイメージしながら、100冊に上る「ゲラメモ」を丁寧に作り上げました。
そして結婚披露宴当日。出席者様には、司会者から「ゲラメモ」のコンセプトが伝えられ、新郎新婦が笑顔でお1人ずつ手渡しされました。「ゲラメモ」はおふたりにとって南相馬が大切な土地であることを象徴し、これからも、自然な形で復興支援に関わることを宣言する品となったそうです。
「ゲラメモ」に込めたおふたりの思いが伝わる
「ゲラメモ」を受け取られた出席者様からは、
「手作り感があり、人間の温かさを感じた」
「なくなってしまうものを再利用するのがいい」
「赤入れされている原稿が透けて見えるのがいい」
「被災地の仕事づくりになっているのがいい」
「捨ててしまうものをリサイクルするのも、伝統の技術を使うのもエコでいいと思う」
「「ゲラメモ」で和製四つ目綴じの技術を初めて知った」
「表紙のビタミンカラーが元気になれるイメージ」
などの声をいただいたとか。
中でも、ボランティア仲間の方々からは
「被災地の現状を知っていただくのにいい品だね」
「こういう試みは新しい一歩である、自分たちもがんばらなければ」
「子どもの頃の修学旅行のしおりに感じる懐かしい手作り感があるね」
「工業製品とは違う味わいがあるね」
「作られた方の思いを受け取る商品であり、自分もこの思いに応えなければいけないと思う」
といった感想があったそうです。
「無理なく、ずっと被災地支援」の象徴
普通のギフトでは伝えられない思いを「ゲラメモ」によって大切な方々と共有できた岡さんご夫妻。今、震災から2年以上の月日が流れました。おふたりの生活を大切にしながらも、新生活の中で被災地への思いを忘れずにいたい気持ちは、今も変わることはありません。2013年も相馬野馬追の際に南相馬を訪れ、お世話になったご家族に結婚の報告をされたということです。今後も自らの趣味等の活動を被災地支援と結び付けつつ、被災地への継続的な訪問などを続けていきたいとか。
将来お子さんが生まれ、家族の形が変わっても、今の思いを家庭の中で育んでいきたいとお話しいただきました。
私たちPRe Nipponのメンバー一同も、おふたりの思いを基により多くの方に広げていけるよう、これからも「ゲラメモ」を息の長い商品としてご提供したいと考えています。今回の出会いが、「ゲラメモ」の世界をまた大きく広げてくれました。岡さんご夫妻の周囲の方が、「ゲラメモ」をどんな風に使いこなしてくださっているかを思い浮かべつつ、地道な活動を続けていきます。
ゲラメモ 商品紹介
アイビーホール
東京都渋谷区渋谷4丁目4番25号
電話:03-3409-8181(代表)
- ※今回の取材については、おふたりが挙式をされたアイビーホール様にご協力をいただきました。